介護
投稿日:2024/05/14
更新日:2024/10/14
介護士の給料相場は?施設形態・地域・資格別の平均年収や給与アップの方法を解説
目次
「給料が安い」と言われている介護の仕事。高齢化により介護サービスの需要が高まる中、国を挙げて介護士の給料改善が行われています。介護報酬改定により、実際に介護士の給料は上がっているのでしょうか。
本記事では、介護士の施設形態。年齢・性別・地域・資格別の平均年収と、給料アップの方法についてご紹介します。
介護士の給料の相場とは?
「介護士は給料が低い」という話を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
なぜ、介護士は他の業界・業種に比べて「給料が低い」というイメージがあるのか、疑問に思う方も多いはずです。
ここからは、介護士の平均給与額について詳しくご紹介していきます。
正社員の平均月収・平均賞与額
厚生労働省が公表している「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、
正社員介護士の平均月収額・平均賞与額は以下の通りです。
平均月収額 | 約25.6万円 |
平均賞与額(ボーナス額) | 約53.9万円 |
・引用:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」(企業規模計10人以上)
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450091&tstat=000001011429%22
介護士の平均月収は約25.6万円ですが、所得税や住民税、社会保険料、労働保険料などを
差し引いた手取り額は約18〜20万円程度です。
全産業の平均年収と比較しても決して高い水準ではないことが問題視され、現在では国全体で介護士の賃上げに向けた施策が考案されています。
非正規雇用職員の平均時給・平均月収
パートやアルバイトの非正規雇用職員の場合、時給制で給料が支払われます。
厚生労働省が公表している「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、非正規雇用職員(パート・アルバイト)の平均時給額・平均月収額は以下の通りです。
平均時給額 | 介護施設(特養や老健など):約1,050円 訪問介護事業所:約1,290円 |
平均月収額 | 介護施設(特養や老健など):約16.8万円 訪問介護事業所:約20.6万円 |
・引用:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」
(介護職員処遇改善支援補助金を取得している事業所)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/22/dl/r04kekka.pdf
上記で紹介した「平均月収額」は、1日当たり8時間・月当たり20日で働いた場合を想定し、計算したものです。
1人で利用者様の自宅を訪問し、緊急時の判断や対応も1人で行うことが求められる「訪問介護事業所」は、介護施設よりも時給が高い傾向にあります。
介護士の給料を細かく分析
介護士の平均給与額は、保有資格や経験年数、勤め先の施設形態などにより異なります。
ここからは、「施設形態ごと」「介護士の年齢・性別ごと」「地域別」「介護士の資格別」に分け、さらに細かい平均給与額を表にまとめて分かりやすくご紹介します。
施設形態ごとの介護士の平均給与額
介護士の給料は、勤め先の介護施設・介護事業所の種別・形態によって大きく異なります。
厚生労働省が公表している「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」を基にした、運営されている施設形態ごとの介護士平均給与額は、以下の通りです。
施設形態 | 平均月収額 | 平均年収額 |
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設) | 348,040円 | 4,176,480円 |
介護老人保健施設 | 339,040円 | 4,068,480円 |
訪問介護事業所 | 315,170円 | 3,782,040円 |
通所介護事業所 | 275,620円 | 3,307,440円 |
認知症対応型共同生活介護事業所 | 291,080円 | 3,492,960円 |
・引用:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」
(介護職員処遇改善支援補助金を取得している事業所)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/22/dl/r04kekka.pdf
特別養護老人ホームや介護老人保健施設など、24時間体制で利用者様の見守りや介護業務を行う介護施設は、夜勤手当がつくため高水準の給与額です。
一方で、夜勤のない通所介護事業所や、小規模である認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム)は、他の介護施設と比較して、給料額が低い傾向にあります。
上記のとおり、どの事業所でも月収額が一定というわけではなく、それぞれの施設形態ごとに支払われる給料も変わっています。
介護士の年齢・性別ごとの平均給与額
介護士の給料は、介護士一人ひとりの年齢や性別によっても異なる傾向にあります。
厚生労働省が公表している「令和4年度賃金構造基本統計調査」を基にした、
介護士の年齢・性別ごとの平均年収額は、以下の通りです。
介護士の年齢 | 男性介護士の平均年収額 | 女性介護士の平均年収額 |
20代 | 約312万円~362万円 | 約308万円~336万円 |
30代 | 約398万円~413万円 | 約346万円~348万円 |
40代 | 約426万円~427万円 | 約360万円~369万円 |
50代 | 約379万円~407万円 | 約364万円 |
60代 | 約288万円~336万円 | 約311万円~333万円 |
・引用:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」(企業規模計10人以上)
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450091&tstat=000001011429%22
性別問わず、介護士の平均年収額は「45〜49歳」の年齢で最も高くなる傾向にあります。
男性の最高年収は約425.8万円で、女性の最高年収は約369.2万円です。しかし、どちらも全産業の平均年収である431万円よりも、低い水準です。
業界的にも、年功序列が残っていることもあり勤続年数も年収に影響する可能性があると考えられます。
地域別の介護士の平均給与額
介護士の平均給与額は、勤め先の介護施設が所在する地域によって異なり、平均給与額が「低い地域」と「高い地域」に分かれることも特徴です。
厚生労働省が公表している「令和2年賃金構造基本統計調査」を基にした、地域別の介護士の平均給与額は、以下の通りです。
【介護士の平均給与額が高い都道府県】
都道府県 | 介護士の平均年収額 |
愛知県 | 約457.5万円 |
神奈川県 | 約397.8万円 |
東京都 | 約388.2万円 |
【介護士の平均給与額が低い都道府県】
都道府県 | 介護士の平均年収額 |
青森県 | 約285.4万円 |
宮崎県 | 約296. 5万円 |
沖縄県 | 約299.4万円 |
・引用:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450091&tstat=000001011429%22
地域ごとの介護士の平均給与額は、集計する年度によって変動があることも特徴です。
しかし、「東京・神奈川・埼玉」などの首都圏や、「愛知・大阪」などの大都市圏は、
例年介護士の平均給与額が高い傾向にあります。
また、九州や東北地方などの地方部は、介護士の平均給与額が低い傾向にあります。
介護士の資格別の平均給与額
介護士の平均給与額は、保有資格によって違い大きな差があります。
厚生労働省が公表しているデータ「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」を基にした、介護士の資格別の平均給与額は、以下の一覧の通りです。
資格名 | 平均月収額 | 平均年収額 |
介護福祉士 | 331,080円 | 3,972,960円 |
介護福祉士実務者研修 | 302,430円 | 3,629,160円 |
介護職員初任者研修 | 300,240円 | 3,602,880円 |
無資格 | 268,680円 | 3,224,160円 |
・引用:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」
(介護職員処遇改善支援補助金を取得している事業所)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/22/dl/r04kekka.pdf
介護福祉士有資格者の平均給与額を比較すると、無資格者より6万円以上の差があります。
介護業界には、段階的にスキルアップ・キャリアアップできる資格や制度がいくつも用意されているため、上位資格の取得とそれに合った職種と業務を行うことで、収入アップが期待できます。
新卒介護士の初任給は?
「新卒介護士の初任給」については、詳しく調査がされていないことが現状です。
厚生労働省が公表している「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、経験年数0年の介護士の平均月収は約21.1万円と報告されています。
高卒の場合
高卒新卒介護士の月収額は、約17万円です。
福祉系高等学校で「介護福祉士」の資格を取得している方であれば、資格手当(約1万円)が加算されます。
大卒の場合
大卒新卒介護士の月収額は、約20万円です。
福祉系大学で「介護福祉士」や「社会福祉士」の資格を取得している方であれば、資格手当(約1万円〜2万円)が加算されます。
高校卒業後にすぐ就職した方と基本給は約2-3万円の差がありますが、給与を上げるとなると基本的には資格取得や役職につくことが必要になるでしょう。
介護士が給料をアップさせるための方法
介護職で働いていくうえで、給料をアップさせるためのいくつかの方法があります。
ここからは、介護士が給料をアップさせるための3つの方法を解説します。
現在の給料に不満を感じている方は、是非実践してみてください。
資格を取得する
介護士は無資格や未経験でも働くことが可能ですが、介護福祉士などの資格を保有していることで専門性が認められ、「資格手当」が加算されます。
また、社会福祉士(国家資格)や介護支援専門員(ケアマネジャー)などの上位資格を取得することで、スキルを現場で活かしさらなる昇給を目指すことも可能です。
管理職に出世する
介護主任やサービス提供責任者、管理職などに出世することで、「役職手当」の加算により、昇給が目指せます。
人によっては出世を重ね、最終的には「施設長」になって年収も上げたい!と昇格を目指す方も一定数存在します。
高待遇の職場へ転職する
介護士の給与額は、地域や勤務する施設形態によって異なります。
高待遇の求人を見つけて転職することは、収入アップを目指したい介護士にとっての1番の近道です。
高待遇で長く働き続けられる転職先をお探しの方には、介護転職エージェントへの無料相談をしてみるのもオススメします。
まとめ:介護士の給料は今後上がっていく見込み
介護業界は、厚労省の資料や情報を参考に顧みると、別業界・別業種に比べて給与水準が低いことが現状です。
しかし、介護士の人材確保・定着を図るため、国がさまざまな施策を考案しています。
高齢化が進行する日本では、今後、介護士の需要とともに、給料額も高くなっていくことが予想されています。
この記事の著者
派遣のキャリアマルシェ_編集部
介護業界への転職・派遣に関する記事を制作・配信している編集部です。20年以上の介護施設運営歴のある弊社より、介護事業所で働く皆さんに役立つ情報を発信しています。
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